No.10

コーポラティブハウス


ここ数年来、コーポラティブハウスと呼ばれる共同住宅が日本でつくられはじめています。住宅が建設される前から入居予定者が住宅づくりに参加し、オーダーメイドの共同住宅をつくるというものです。計画段階から参加することで、入居した後も住人間でのコミュニケーションがうまく図れるメリットがあります。スウェーデンでコーポラティブハウスがつくられはじめたのは約20年前からです。住人の希望にそったオーダーメイドの住戸をつくるというよりも、住人間の円滑なコミュニケーションを図り、近隣住区内の活性化を向上させるのが、スウェーデンのコーポラティブハウスの主目的でした。その為に共同のキッチンで食事を作ったり、共同の家庭栽園で野菜を育てたりしています。このような住み方が現れた背景には、1960年代と70年代に建設された住宅団地が住戸とそのインフラストラクチュアを提供しただけで、住人同士の潤いのある人間関係を構築できなかったからです。そこにはほど良い近隣関係を生む仕組み(ソフト)が欠けていたのでしょう。 日本では人情とか義理とか、いい意味での日本人のウェットな部分が失われ、乾いた人間関係となっていますが、意外にも今のスウェーデン人の中でかつて日本人が持っていた良いものが培われています。人が寄り集まって住み、よりよい人間関係を育てることで潤いのある近隣社会を築けたのは、スウェーデンの住宅政策の賜ではないでしょうか。


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