きょう、9月11日は東日本大震災が発生した日から満2年半にあたります。被災地ではインフラの整備や復興住宅の建設が予定通りにはかどっていないそうです。
仮説住宅に住まわれている方は蒸し風呂の中にいるような夏を過ごされたとか。酷暑はようやく峠を過ぎたとはいえ、まだまだ厳しい生活を余儀なくされる被災者のみなさまに心からお見舞い申し上げます。
同時に被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。


 今年の春先、震災後2年を迎えるころ、ある著名な建築家がテレビでつぎのような主旨のお話をしていました。
「今回、ボランティアで復興のお手伝いをさせていただいて、気がついたことがあります。それは誰のための建築かを考えて仕事をしなければいけない、ということです。」
私はこれをきいて、いまごろ何を言っているのだ、と思ったの同時にやっと気がついてくれたと思いました。主に住宅建築にたずさわっている私には誰のための建築かなどとあらためて問うまでもないからです。

建築主やユーザーの私的な要望が形になると同時に、街並みや都市景観の一部とならざるを得ない公的な性格を建築は持ち合わせています。住宅も個人のものではありますが、いったん建築されたら街の景観を形作る要素となり、ひいては社会性をもつことになります。
だれのための建築かへの答えがここにあるのではないでしょうか。

 パワービルダーと呼ばれる私の地元の工務店が、ここかしこにミニ開発をすすめ、建売住宅の建設にいそしんでいます。雑木林が宅地に造成され、街の景観が一変してしまっています。完成した家並みを見るたびにやりきれない気持ちにさせられます。
せっかく開発するのであれば、せめて前の雑木林よりもよいと、人に思わせるような開発をしてほしいものです。10棟、20棟と群として計画できるのだから、一工夫してすぐれた景観を実現できるはずなのです。
すぐれた家並みができれば、付加価値もつくし、住みたいと思う人もふえるだろうし、住んだあともその地区を誇りに思うだろうし、と考えてしまいます。
 建売が悪いとは言いません。北欧スウェーデンの住宅は大半が建売です。住まいとしての標準と質が高く、景観を含めた地区計画がすぐれているから、住めば住むほど価値が上がっていくのです。

2020年の夏季オリンピックが東京で開催されることになりました。国民の気持ちは明るくなり、経済効果も期待できます。日本は元気を取り戻すきっかけにもなります。
インフラの再整備や競技施設の建設と並行して住宅の建設もすすむでしょう。おおきなチャンスです。美しく安全で安心して住める日本に再生するチャンスです。行政がしっかりして、勝手な開発をさせず、世界に誇れる再生日本を実現してもらいたいと
切に願っています。
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